Easy,Difficult




簡単なようで意外と難しいことというのは結構あるものだ。
最近では特にそう思う。
新しい宇宙の女王になった少女を見て、特に。

向こうの方で彼女を助けてくれた「アリオス」という
青年と楽しそうに喋ってる姿が見える。
・・・ああいうのを見て聖地ならば注意出来るのに
こんなところでは注意すら出来ないまま。
(・・・信用しすぎていいものか・・・?)
何と言うか、引っかかる。
だが、そういったとて周りが納得しないだろうし
彼女もまた納得しないだろう。

「ジュリアス様、どうしました?]
「いや・・・何でもない。
そろそろ、次の惑星に着く頃ではないのか?」
「は、はい。ここではリュミエール様とオリヴィエ様が
捕まってるみたいなんです・・・。」
「そうか、充分に気を付けて戦わねば・・・暑さに負けぬように
疲れを取っておいたか?アンジェリーク。」
「はい、大丈夫です。早くお二人を救出させましょうね。」
「ああ、着くまで暫くはまだ時間があるだろう。お前も少し 休んでおくといい。」
「先ほども言いましたけど私は大丈夫ですって。
ジュリアス様の方こそ少し休まれたほうが・・・」
「・・・・では、そうするか。着いたら教えるように。」
「はい!」
嬉しそうに笑う少女を見送ると一つの視線と目が合う。
笑いを堪えてるような笑っているようなそんな瞳。

「・・・・・・。」
「・・・どうした?」
「いや、あんたアンジェの前だと笑うんだな、と思ってな。」
「・・・・・・?笑う?」
「気付いてないのか?」
口の端を上げて、意外だ、と言うように笑う。
・・・・何に気付いてないというのだ。
だが、それでも目の前の男は笑うばかり。
「守護聖さま、というのを長くやってると鈍く
なるもんなのかい?ま、いいけどな。」
まるで自分の愚かさを笑うように、何に気付いてないのかすら
教えずに彼はまた人の群れの中に戻っていく。

自分が彼女の前だと笑う、など他のものにすら言われた事はなかった。
彼女は女王候補であり、今は新しい宇宙の女王、それ以外の
何者でもなかったのだから。
ただ・・・・時折彼女を見ていて歯がゆくなる事があり
それが自分をいらいらとさせることがあるが。
それ以上でも、それ以下でもないはずだ。
なのに・・・・どうしてこうも気になるのだろう。
さっきの一言が。
まるで自分の中の見えない何かに突き立てられたナイフのようだ。
何を自分は思っているのだろう・・・・?

思いに気付くのは難しい。
それを認めてしまう事はもっと難しい。
簡単なようで一番難しい事。
それは自分の中の思いを正直に伝える事と認める事。
それぞれの思いを胸に秘め、守護聖を救出させる旅は続いていく。








【Easy,Difficult】
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森生よりひとこと
帝釈天様のHP『GARDEN』で、キリ番を踏んででいただきました。
実は、アンジェリークでジュリアスのことをいいな〜と思いはじめたのは最近です。
たぶん、創作を書くようになってから、彼の面白さ(^_^;;)に気付いたのだと思います。
そんなわけで、帝釈天さまには御無理を言ってジュリアスの話をいただいてしまいました。
私も彼のこういう微妙な心の機微を描けるようになれるといいのですが(^_^;;)
帝釈天さま、どうもありがとうございました♪





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