INSIDE

Written-By:帝釈天



内側からは覗けない。
人の気持ちは分からない。

私は貴方が凄く好きだけれど、貴方はどうなんだろうって
良く考えるの。
いつも笑って「勿論だよ」って言ってくれるけれど
でも本当に?

貴方と並んで歩く自分の姿を見ると、特にね。
髪はボサボサ、服はお構いなし、の私に対して
貴方はいつも、きちんとしてて。

ねぇ、本当に私で良いのかな?

「・・・・・・あれ?」

携帯を見ると留守録が二件ほど入っている。
再生をしてみると、いつもの聞きなれた声が耳に響いた。

夕方、家に来る事。
何かお土産らしい物がある事。

それを聞いて思わず慌ててしまう。
先程留守録に気付いたばかりで、今日は掃除らしい掃除はしていないのだ。
これはヤバすぎるんじゃ・・・・・等と思っているとチャイムが鳴った。

・・・・・ああ、神様って何処に居るんだろう・・・・。

「は〜〜い。」

扉を開けると、留守録を入れた本人が登場。
いつも、にこやかな笑顔で、こちらを見つめるが時折、本当に時折
その、眼差しが酷く苦しくなる時がある。

「や、留守録聞いた?」
「ええ、勿論。でもね、今日掃除らしい掃除してないから
部屋が少し散らかってるんだけど・・・大丈夫?」
「ああ、大丈夫。お邪魔します。」
「はい、どうぞ。」

外が少し薄暗くなって来たので部屋の灯りを点けて座り
彼は当然のように自分の横に座る。
何でだろう、どうして、いつも一緒にいるんだろう。

この悩みに彼は以前、こう答えた事があるけれど。

『違うから面白いんだよ。君の知らない世界を俺が知ってて
俺の知らない世界を君が知ってる。』

けれど・・・・本当に、そう?

もたれかかるように少女は高城の肩に頭を預ける。
高城も、柔らかく笑いながら少女の頭に自分の顔を近づける。
暖かな体温が確かな物の筈なのに。

少女は不安を体中に抱えて。

「・・・・・・・・・。」
「少し、疲れてる?眠いんだったら、このまま寝るかい?」
「・・・ううん、疲れてない・・・・高城くん、私の事好き?」
「・・・どうしたんだい?好きじゃなきゃ、こうして会いに来るわけ
無いだろう?」
「うん・・・解ってるけど・・・・。」

不安なの、と言葉にして言わずに溜め息で告げる。
その余りの心細そうな姿に高城は何を思ったか少女の耳を引っ張り
何処か苦しくなるような微笑を浮かべながら言葉を紡ぐ。

「全く・・・・君の耳はいつも何を聞いているんだい?
この耳は、もしかして飾りなのかな?」
「・・・っ!だって・・・・。」
「だってもなにもない。何がそんなに君を不安にしてるのかは知らないけれど
俺はね、君以外必要ないよ。前にも言ったろう?互いに違うから面白いんだと。」
「・・・・・・・・ゴメンなさい。」
「?どうして謝るんだい?」
「私、いつも高城くんに言わせてるから・・・言ってくれなきゃ信じれないなんて・・・
駄目なのにね。」

耳を引っ張っていた手を放し、きゅ、と少女の身体に腕を回す。
緩く、柔らかに高城本人に回される少女の腕の力と同じように、緩く。

「・・・良いよ、それで君が安心するなら・・・。」
「・・・本当にゴメンなさい・・・。だから嫌いにならないで。」

絶対に出来そうも無い事を腕のなかで呟く。
嫌いになった事など、一度も無いのに。
子供のような独占欲も愛しい、と思えるほどに。

「ならないよ、絶対。・・・ところでさ。」
「?」
「君は、どう?俺の事、好きかい?」
「・・・勿論、好きよ。好きだから不安になるの、並んで歩いている
自分を見る度、嫌になるのよ・・・・!」
「わ・・・解った、解ったから、そんな風に泣かないでくれるかな?
折角久しぶりに会えたのに思い出が泣き顔、だなんて哀しすぎるからね。」
「うん・・・・・・。」
「さ、気を取り直して逢えなかった時の話から始めようか。
それとも他に何かしたい事はあるかな?」
「ううん・・・話したい事も話す事も一杯あるの。
だから、気が済むまで話してもいいでしょう?」
「ああ。君が出てけ、と言わない限りは、ここに居るつもりだからね。」
「・・・言わないわよ、凄く久しぶりに逢えたのに・・・。」

くすくすと笑いながら、お互いの話をしだす。
何があったか、些細な事なのに二人には凄く重要な、会話を。

内側からは覗けない、人の気持ちは解らない。
貴方を思う限り、この痛みは続いていくんだろうけれど。
また、いつでも不安になるんだろうけれど。
この痛みが、貴方を思う証になるのなら、私は、この痛みに
慣れていくしかない。
それは、いつも凄く辛いんだろうけど、それごと貴方が好きだと言えるから。



-End-







森生よりひとこと
帝釈天さまのサイト「GARDEN」の2周年のお祝いの御礼にいただきました。
海老で鯛を釣るとはまさにこのこと(^_^;;)
あのようなイラストの御礼にこんなステキな創作をいただけるなんてvv
帝釈天さま、どうもありがとうございました♪ 高城くんで幸せです♪





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